先日、ちょっとした用事で子供の頃に通っていた床屋さんに伺うことがあり、

せっかく伺ったついでに顔剃りしてもらったのであります。

 

小学生の時以来、約30年ぶりに訪れた床屋さんは、内装こそリフォームされていましたが、

こじんまりと整頓された雰囲気はあの頃のままで、ドカッと座った電動椅子の座り心地や

蒸しタオルの香りとトニックの入り混じった香りに、僕はいつの間にかタイムスリップして

30年前のまだ何も知らない、ただ大人に憧れるだけの少年に戻っていたのです。

 

目を閉じながら、シェイビングクリームをかき混ぜる陶器の音、

遠くで流れる12ちゃんの吹き替え洋画の音に平和な日常をゆったりと味わいながら、

そういえばラジオで「鶴光の噂のゴールデンアワー」を初めて聞いたのはこの場所だったっけ。

 

カミソリを滑らせるおじさんの一連の動作も、ぬるからず熱からず絶妙な温度の蒸しタオルも、

そうだあの時のままだ!

ゆったりと確実に顔の産毛さえも綺麗に剃り上げられていく快感。

急所である頸動脈に向けて、こうも容易く他人にカミソリを当てさせられる信頼感はなんだ?

 

キリッと剃り上げられたヒゲは増えたものの

剥きたて卵みたいにツルっとなった自分の顔を、あの時と同じようにちょっと恥ずかしげに撫でながら、

普段では味わえない、なぜかしら贅沢な時間にほっこりした気分で満たされてしまったのであります。

 

今やとんと忘れ去られた男のダンディズムや、男特有の病気であるノスタルジーを

持って行き場のない時代ですが、床屋がその役割を十分に果たしているではないか!

 

大人になって、仕事に追われ、家庭を持つようになれば

男一人、一息つくタイミングを見つけるのも難しくなってきます。

頑張るから余裕が出るのか…余裕があるから頑張れるのか…

どちらとも言い切れないけれど、男にももっとゆったりと自分を磨く時間があっていいはずです。

男にも贅沢な時間を…

 

その受け皿たる「床屋」を僕は男性に強く薦めたい。

女性が脚光を浴び、世の中の何もかもが女性向けに整備されようとしている中で、

女々しくて邪険に扱われる男性は、今こそ男としての威厳を身に着けてみてはどうだろうか?

 

30年ぶりの床屋さんで、僕の中の忘れていた何かが目を覚ましたような気がしたのであります。

 

sAntOsH

 

那須塩原 グローリ

那須塩原市のグローリ(東原小のすぐ近く)

 

グローリ

ごめん おじさんピントが入ってなかったや